前回、「ECサイトに有効なレコメンド機能まとめ」で紹介した、ECサイトのレコメンド機能とは、ある商品の購入を検討しているお客様に、「こんなお薦め商品もありますよ」と関連する商品などを提案し、購入してもらうための販売戦略である。
基本的には購入率を上げるための施策であるが、購入率は上がるが、平均単価がさがってしまったなどのケースがある。そのような時に活用したいのが、クロスセルとアップセルという販売戦略である。
今回は、この販売戦略のうちのクロスセル、アップセル、ダウンセル、さらにレコメンド機能とは対極にあるディスカバリー機能について解説する。
「クロスセル」は購入した商品とあわせて別の商品を提案して、その提案商品も一緒に購入してもらうもの。
ハンバーガーを購入する際、ポテトも一緒にいかがですか? お飲み物はいかがですか?というマクドナルドの販売戦略がそれである。
ECサイトでは「ご一緒に○○はいかがですか?」という関連商品を提案する。デジタルカメラを購入のお客様にプリンタやメモリカードなどの関連商品を提案することで、客単価アップ、売上アップにつなげることが出来る。
「クロスセル」で提案する商品は、お客様が検討している商品価格の3分の1の価格が最も購入されやすいという統計もある。他にも、「あと2000円買えば送料無料。あと2000円購入でポイントが倍に!」などもクロスセルである。
「アップセル」は商品購入を検討してものより、性能が良くて値段の少しだけ高い商品をおすすめするというものである。
これは似たような商品が複数ある場合に利用される。例えば、8万円のテレビ録画機の購入を検討されているお客様に、この10万円のテレビ録画機は2番組同時録画が可能です。と高機能で少し値段の高い商品をお勧めする。
「じゃらん」などで見かける、「+○○円でこんなプランに宿泊できます。」という「アップセル」の販売手法も、「それくらいなら、そのプランに変更しようかな」という顧客の満足も得ることができ、顧客単価の上乗せが期待できる。
「関連商品を薦める」はクロスセルで、「より高い価格の商品を薦める」のがアップセルである。
「クロスセル」と「アップセル」では購入者へのアプローチのタイミングが違う。「クロスセル」は、お客様が商品を購入後、又は購入の意思が決定した直後に行うのが、タイミングとしては良いとされる。
一度購入したお客様は心理的に財布のヒモが緩くなっており、タイミングとしてはよいのだ。「アップセル」はある商品の購入を検討しているタイミングでアプローチする。
「ダウンセル」とは、商品価格が高すぎて、購入を躊躇してしまうような商品に対して、グレードダウンした別の商品を勧める手法のことである。これは、その名前の通り、アップセルとは反対の手法あり、客単価ではなく購買率を上げるための施策として用いられる。
単に価格が安いもを提案するのではなく、お客様に安くてもお得感が得られる商品が望ましい。
「クロスセル」、「アップセル」、「ダウンセル」、これらは、みな、レコメンド機能のひとつである。レコメンド機能の代表的なものはアマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています。」に代表されるものだが、このレコメンドはユーザーの行動履歴からユーザー同士の類似値を自動計算し、おススメ商品を表示する機能である。
この対極にあるのが、「ディスカバリーエンジン」である。ディスカバリーエンジンはユーザーの属性、年齢や性別、閲覧履歴などから、意表をついた新たな商品を提案する機能である。
アメリカなどでは実装する例が増加しており、目的はユーザーにひとつの商品から、新たな商品を発見をしてもらうこと、さらにユーザーの潜在的ニーズを発見する発見型エンジンとして位置づけることができる。
今回取りあげた、エンジンに共通することは、お客様に何を追加することで購入の役に立ち、何を提案することが親切なのかを考えて提案するということである。
リアルの店舗もECサイトでも、お客様の立場で考え、行動することが大切であり、どういう風に、何を提案すれば、お客様に喜んでいただけるのかを考え、それに合った商品やサービスを提供することである。
提案する内容が、お客様にとって明確なメリットを作ることができるかが、ポイントである。
写真出典:新着写真素材 | ぱくたそ – フリー写真素材・無料ダウンロード