お店に買い物に行って、料理などのいろいろな食材をカゴに入れ、レジ並んでる間に気が変わって食材を棚に戻すことがある。ECサイトの場合は「カートに入れる」までは完了したが、決済や配送のステップで気が変わり、別のサイトに移ってしまう。
このようにカートに商品を入れたにもかかわらず、途中でページから離れることを「カゴ落ち」と呼んでいる。ECサイトと実店舗のこのカゴ落ち率を比べると、ECサイトのカゴ落ち率が圧倒的に高いことが示されている。今回はこの「カゴ落ちについての対策」をまとめてみた。
「カゴ落ち」とは、ECサイトに訪れたユーザーが、商品をカートに入れたにもかかわらず購入せずに離脱することである。このカゴ落ちの割合はなんと平均で68%もあると言われている。そしてこのカゴ落ち率は年々増加傾向にあるのだ。この「カゴ落ち」の理由はいろいろあるが、大きくは以下の内容である。
この中で一番多い「カゴ落ち」の理由は「費用や配送面にかかわる離脱」で、予期していないコストが提示されたためと解答されている。その次が「購入意欲や優先度による離脱」で、離脱ユーザーの約4分の1はこの2項目で占められている。それではこの「カゴ落ち」にならないためにどのような施策があるか見ていこう。
商品をカートに入れて、買う気満々のお客様を見逃すことはもったいないことである。100%は無理でも、少しでもこのようなお客様に対して、どのような対策を講じれば良いか、8つのチェックポイントとして整理してみた。
お客様がページから離脱する時にアラートを出す。離脱する際に「ご注文は完了していません。このページから移動してもよろしいですか?」といったアラートを表示することで、お客様に離脱を留まらせるきっかけを与えることができる。
お客様が希望する決済手段がないことは、お客様にとって想定外のこととなる。決済方法をたくさん用意することは重要である。最低でも、「クレジットカード払い」「金融機関への振込み」「代金引換」「コンビニ払い」は用意しておきたい。
購入完了までのプロセスと時間をできるだけ簡略化、シンプルにすることで、お客様の購入意欲が減退することを防止できる。通常は「カート>お届け先選択>支払い方法選択>確認画面>完了画面」となるところを「カート>確認画面(お届け先選択・支払い方法選択)>完了画面」と入力内容は同じでもステップを短く表示することでお客様に買い物は簡単にできるという印象を与えカゴ落ちを改善できる。
お客様に登録を促すフォーム入力はカゴ落ち防止の重要課題だ。入力項目が多すぎる、何を入力すれば良いのかわからない、といった入力フォームはカゴ落ち率が高くなる。具体的な対策としては、入力項目は必要最低限にする、入力をサポートする機能を追加する、文字やフォームを大きく見やすくするなどがある。
購入確定画面で予想外の金額になり、離脱するパターンが一番多い。お客様が最終的に支払う金額はいくらになるのか、購入画面に進む前に明記する必要がある。商品の価格が魅力的でも、購入画面で送料が加算されると購入を中止するお客様が多いのだ。送料などはお客様が商品をカートに入れる前にしっかり明示する必要がある。
ECサイトでは実店舗とは異なり、商品を手に取って見ることはできない。そのためイメージしていたものと違ったらどうしよう、などキャンセルや返品に関して、その内容を明記することで安心感を与えることができる。また、商品によっては使用の際のサポートを受けたいというものもあるだろう。どのようサポートが受けられるか商品説明のページに明記することも重要である。
お客様は疑問に思うことに対して、解答が示されないと安心して購入することが出来ない。お問い合わせフォームやよくある質問内容などQ&Aとしてページの下部に設置する。
お客様の「カゴ落ち」はいろいろの場面が想定できる。購入確定のところで、離席する用事ができたや、とりあえず購入は後日にしようようと思い忘れてしまった、などだ。このような場合、再度購入を促すメールの配信や商品広告の表示などで、もう一度商品購入を検討してもらうことがお客様を逃さないコツである。
「カゴ落ち」後のフォローとは購買意欲があってもなんらかの理由により離脱したお客様を呼び戻す施策である。カゴ落ちのお客様フォローにはいくつかの方法があるが、代表的なものとしては、リカバリーメールとリマーケティング広告である。
リカバリーメールとはカゴ落ちしたお客様に次のステップを知らせるメールを送るもので、離脱したお客様を呼び戻すことが可能だ。また、リマーケティング広告とはサイト訪問した、商品を閲覧した、カートインなどしたれど、どこかの段階で何らかの理由でサイトを去ってしまった人を追いかけていく広告である。
このリマーケティング広告はもう一度、サイトに訪れていただき、コンバージョン率を向上させるための手段として有効である。特にカートインされたお客様には、この方法は有効であることがわかっている。
従来のテクノロジーでは難しかったOne to Oneの施策が、MA(マーケティング・オートメーション)により、リカバリーメールとリマーケティング広告が自動で行えるようになった。某アパレル会社ではこの「かご落ちのMA」の導入により、サイト全体の売上が約15%も増加するほどの効果があった。
MAによるリカバリーメールは、商品をかごに入れたままでサイト離脱したお客様に、カゴ落ちから1時間後に「●●商品をお買い忘れではありませんか?」というメッセージメールが配信されるものだ。このような「お買い忘れありませんか?」というメッセージは買い忘れのお客様にとってとても有効である。
ECサイトを運営さている方はかご落ち率を割り出して、68%に近い数値の場合は早急に何らかの対応をしたほうが良いだろう。かご落ち対策のポイントとしては、「商品価格が早い段階で分かる」「購入確定までの登録がシンプル」「サポートや返品が保証されている」「かご落ちをフォローする機能を設置」である。これら施策を行い、かご落ち率を少しでも削減し売上向上を図りたい。