2020年は新型コロナ感染症拡大の影響で各種規制の影響から巣ごもり消費が増加、買い物を実店舗から、ネットショッピングに置き換える動きが拡大した。
MMD研究所の「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査(10月31日~11月2日の期間)」によると、コロナウイルス流行期も含め、総合ECサイト利用トップは「Amazon」で69.7%、次に「楽天市場」が41.4%と続き、2020年も国内では「Amazon」がEC市場では独走状況が続いている。
今年、Amazonはコロナ禍におても、外部の出品者の誘致強化によるアマゾン全体の品ぞろえの強化し、日用品においてはプライベートブランド(PB)の展開するなど、様々な取り組みを行った。ここでは、「Amazon EC」での2020年の取り組みを見ていこう。
2020年Amazonの収益はコロナ禍で大きく拡大している。
2020年4月〜6月の売り上げ高はの889億ドル(約9兆3200億円)、前年同期比40%の増加となり、第3四半期(7月〜9月)では、売り上げは約961億ドル(約10兆345億7000万円)と、こちらも前年同期比で37%増と、前年度同期を大きく上回る結果となった。
この収益はもちろん、Amazonビジネス全体であり、Amazon実店舗、Amazon広告、Amazonサブスク、AWSなどの収益も含まれているが、EC事業では、コロナ禍による食料品のオンライン販売部門の売上は前年比で3倍も拡大した。
ここでは、2020年のAmazon EC事業における主な取り組みをまとめた。
アマゾンジャパンでは、3月23日より注文時の配送オプションである「置き配指定サービス」を30都道府県で配送方法の初期設定を開始した。
これは新型コロナ禍での非接触型による安全な配送方法と再配達するドライバーの負担を軽減するために実施されたものだ。
配達が完了すると、「置き配」された写真付きのメッセージが送られるこの方式は、配達員との接触することもなく、再配達問題の解消にも繋がり、このコロナ禍において大きく浸透していった。
また、Amazonでは、「置き配」によるロボット配達員による実証実験も行われている。
置き配実験では、オートロックのある集合住宅を想定し、置き配ロボットが、玄関前に宅配荷物を置き配する実験である。
このような、置き配、宅配ロボットは、世界的に開発が進んでおり、非対面ニーズと人的負担の軽減など今後はさらに開発が進むであろう。
今年は、中国EC市場では新たなEC販売手法としてライブコマースが多くの集客とEコマース収益拡大に活用された。
Amazonでも2017年から展開していた「Amazon live」を大幅にアップデートして、2020年7月に公開した。
ポイントは、インフルエンサーがAmazonの商品をライブコマースで販売することができること、インフルエンサーは紹介料を受け取ることができる点である。
さらに、ライブ配信は美容、ファッションに限定されておらず、今後は多数のカテゴリーをカバーするライブ配信のチャンネルが登場するだろう。
この「Amazon live」は、まだ日本ではサービス展開されていないが、近い将来リリースされるだろう。
また、商品画像ではなく、「商品動画」の埋め込みも一般化しつつある。
5Gの普及により、動画埋め込みやライブコマース活用の有用性は確実で、今後ますます、普及の可能性は高い分野である。
新型コロナはネットスーパーの利用も加速させた。
アメリカでコロナ感染が拡大した4月、Amazonの食料品オンラインが急増し、食料品を購入する顧客を待機させたり、実店舗の営業時間を短縮し、オンラライン注文へシフト対応すなど行った。さらにオンラライン対応の人員を60%増員し、食料品などのネット注文処理能力を高めた。
日本にはまだ、アメリカのAmazonFlesh(食料品、生鮮食品、日用品などを扱う実店舗)は無いが、日本では、10月、食品スーパー大手「ライフ」がAmazon.co.jpにストア開設し、生鮮食品・惣菜など数千点の商品をオンライン購入可能となった。
これは、Amazonプライム会員向けのサービスで、「Amazon.co.jp」サイト内に「ライフ」のストアが開設されることで、従来の「Prime Now」専用アプリに加え、「Amazon.co.jp」のWebのサイトや「Amazonショッピングアプリ」を使用し、オンライン注文できるようになった。
サービスエリアは、東京都7区と販売エリアは限定されるが、順次拡大予定となっている。
Amazonは6月、偽造品を出品・販売し、法律およびAmazonの規約に違反する偽造品犯罪者に対して法的責任を追及する「偽造品犯罪対策チーム」を新たに設置したこと発表した。
「偽造品犯罪対策チーム」は、グローバルの様々な人材が集まったチームとして、元連邦検察官、経験豊富な捜査官、データアナリストで構成されており、偽造品撲滅を広範囲で推進するとしている。
既に、Amazonでは2019年には5億ドル以上を投資し、8,000人以上のスタッフが、偽造品を含む不正行為の阻止に取り組んでおり、不正の疑いがある60億件以上の出品商品が削除され、 250万件以上の不正アカウントが、商品をひとつでも出品される前に閉鎖した。
さらに、Amazonの2020年6月の発表はではこの「偽造品撲滅対策」を強化したものだ。
日本でも、『偽造品犯罪対策チーム』により偽造品を販売する出品者が「zero」になることを期待したい。
日本の販売事業者が海外で販売展開されるAmazonで販売できるよう、Amazon海外販売専属チームによる日本語での『海外販売支援サービス(グローバルセリング)』を開始した。
このサービスによって、日本のAmazon登録事業者は、専属チームにより出品アカウントの作成と商品登録に関するサポート、海外での販売に適した商品の提案、事業者の販売実績の分析と販売強化のための提案や海外送金や海外輸送などに関する外部サービスの紹介など、総合的なサポートを受けつつ、海外販売を実現可能となった。
越境ECによる販売は、国内販売に比べコストがかかり、文化の違いにより返品率も高くなることが予想される。
海外販売は国、地域により商品の見極めを充分に行う必要があり、これらのサポートは海外事業の成長において有効となることだろう。
アメリカAmazonは8月31日、ドローン配送サービス「Prime Air」においてFAA(米連邦航空局)から正式な認可を受けた。
認可を受けたのは、小型のプロペラ飛行機による定期便およびチャーター運航を認可する「アメリカ航空規則(FAR)Part 135」である。
これは、オペレーターの視界から外れても、夜でも、ドローンを飛ばせるもので、これによりAmazonは、米国上空で商用配信トライアルを開始できることとなった。
Amazonのドローン配送部門を率いるデイビッド・カーボン副社長は声明で、、FAAの決定を称賛し「ただちに商用サービスに乗り出すわけではないが、今回の認証はPrime Airにとって重要な一歩だ」と述べた。
Amazonにとっては、この認可は大きな一歩であり、「約2キログラムまでの商品を運べるドローンが自動操縦で飛行し、注文から30分以内に発注者の自宅の庭などに商品を届ける」とする目標に近づいた。
ドローンによる配送は、まだ実現にはドローン飛行に関する法の整備や騒音問題など時間がかかるとの見方が強いが、今後さらに各企業が競争しドローン技術が発展し、それら課題の解消に向かってほしいものだ。
Amazonは10月13、14日に有料会員向けのセール「プライムデー(Prime Day)」を世界19カ国で開催した。
Amazonでは、全体の売上高は開示されてないが、出店事業者による売り上げは35億ドル(約3675億円)を超え、前年比60%増の過去最高を記録した。
日本においても、Amazon販売事業者の販売個数は約800万個となり、過去最大の売上となった。
さらに、アメリカでは11月27日(金)から12月1日(火)にかけて、ホリディシーズンセール(ブラックフライデー、サイバーマンデー)が開催され、今年はコロナ禍による巣ごもり消費がさらに拡大した。
アメリカのECサイトが大規模セールを実施したサイバーマンデーセールの売上高が前年比15%増の108億ドル(約1兆1,200億円)の過去最高を記録した。
Amazonでは11月27日(金)から12月1日(火)にかかて、ブラックフライデー&サイバーマンデーセールを開催した。
こちらもAmazon全体での数値は公表されていないが、全世界の「ブラックフライデーからサイバーマンデーまでの5日間」までの全世界の販売業者による売上高は、前年比60%増の48億ドル超のAmazonの歴史上最高額の売上を記録した。
そして、Amazonでは71,000社もの中小企業が、売上高10万ドル(約1,000万円)を超えたとも公表している。
今年のAmazon.comの売れ筋商品は、新しいEcho Dotやバラク・オバマ前大統領の著作「A Promised Land」、さらにREVLONのブラシ付きヘアドライヤー「One-Step Hair Dryer and Volumizer Hot Air Brush」などとなっている。
また、巣ごもりによりおうち時間充実商品、Nintendo Switch、ボードゲームやプロジェクター、コードレスモップ、高級枕などが売り上げを上げた。
このコロナ禍の影響でAmazonはプライムデー、ホリデーシーズンと過去最高の売上を達成した。
今年はコロナ禍で外出規制によって生まれた新たなトレンド、巣ごもり消費でEC市場は大きく成長した。
その中でも圧倒的に強かったのは、Amazonだった。
2020年ネット販売白書を見ても、アマゾンジャパンは前年比14.1%増の1兆7443億円と他を大きく引き離している。
これまで見てきて分かるように、Amazonは首位に甘んじることのない挑戦する社風と超顧客中心の姿勢が継続的な成長につながっている。
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